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長く放置でスイマセン☆
頭の中はいっつも妄想しているんですけどねぇ(笑)
形にするのが難しいこの頃。
あちこちで素敵企画がもちあがっていますね。
どのCPも大好きなので嬉しい限りです。
今回も初期のころの無自覚斎藤さんをかいてみました。
途中で眠くて・・・書きたいところを書いて燃え尽きました。
良かったらどうぞ。小説は続きからです。
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千鶴が新選組預かりとなって数カ月。
最初は監視付きで部屋に閉じ込めていたが、逃げ出そうともせずに大人しい千鶴に対し土方を始め、幹部たちも徐々に気を許し始めた。
一流の剣客である幹部たちが、千鶴の本質を見抜くのにそう時間はかからなかったのである。
斎藤ももちろんその筆頭で、幹部棟のみ自由に行き来できる千鶴とはいえ、外には付き添いなしで出られない千鶴の為に、喜ばれるものを思案して日参する日々を過ごすのが当たり前になっていた。
そんな中ふと気付く、千鶴の視線の先。
部屋にいるとき
食事をするとき
その視線の先は同じ人物ではないけれど、斎藤はその度に胸がもやもやするのを感じていた。
「雪村」
「はい、なんでしょうか、斎藤さん」
食事をしている箸を止め、千鶴はまっすぐに見つめてきた。
「先ほどから新八の方を見ているが、なにか気になることがあるのか?」
千鶴は食事をしながら新八の方を見つめては視線を下に向け、煮物に箸を伸ばして口に入れることを繰り返していたのだ。
「いいえ?何もありませんよ?私、そんなに永倉さんを見ていましたか?」
「なんだ?千鶴ちゃん、俺に用があるんなら、遠慮せずに言ってくれればいいんだぜ!」
「えっいえ、本当に何もないです。ありがとうございます、永倉さん」
顔を赤らめて慌てて手を振る千鶴に、そうか?遠慮は無しだぜ!と永倉は豪快に笑う。
「新八なんぞ見たって暑苦しいだけだろ?千鶴」
原田が笑って返せば
「そうそう、こんな筋肉だるまのおっさん見てても面白くもなんともないよなぁ」
平助もそう言って笑いだす。
「ずいぶんな言い草だなぁ、おい!この筋肉美は分からねぇなんてヤダね~」
3人の会話を聞いて、くすくすと笑う千鶴を見て斎藤は視線を膳に戻した。
廊下を歩いていると、部屋から庭を見る千鶴に気づき近づくと、またも千鶴は庭を見ていた。
庭には沖田が昼寝宜しく寝そべっていた。
「雪村」
「はい、斎藤さん、こんにちは」
「・・・何か、気になることがあるのか?総司に用があるなら起こせばよい。あれはさぼっているのだから」
「沖田さん、ですか?いえ、何もないですよ。それよりも気持ちよさそうに寝ていらっしゃいますね」
私はあんな風に寝られません、といって笑う千鶴の笑顔に、ふと斎藤は違和感を感じた。
「無理して笑うことはない」
「え・・」
千鶴の横に座り、そのまま黙りこんだ斎藤を千鶴はじっと見つめていた。
「・・・斎藤さん」
ちらりと千鶴に視線を移した斎藤の横で千鶴は視線を庭の地面に落とした。
「色々と・・気を使ってくださって感謝しております。斎藤さんはとても聡い方ですから・・・お気づきなんですね」
「いや、あんたは男としてここにいるのだから、あまり誰かをじっと見つめるのはあらぬ誤解を招くと思う」
「そうですね、・・・って、ええ?見つめるって誰をですか?」
「誰をって、その、新八だったり総司だったり、だが・・・」
「見てません!見てません!見つめてません!」
真っ赤な顔をして手を顔の前にブンブンと振る千鶴を見て、斎藤もあわてた。
「・・・違うのか?」
「どっどうしてわっ私が幹部の皆さんを見つめるって・・・そんなこと怖くてできません。特に沖田さん・・」
最後の方は小声でかろうじて聞こえた千鶴の声。
「では、何故」
「外を・・・空を見ていたんです」
「空?」
そういえば先ほどの食事の時、永倉は窓の下に座っていた。
つまり千鶴は窓から見える空を見ていて。
今も庭から空を見ていた、ということなのか。
「あの空の下に、父様がいるのかな・・・・って。すいません・・・」
「そうか」
外に出ることは許されていない千鶴は、あの空の下のどこかに父がいるのではないかと思案していたのだ。
「すまないな・・」
「いえっ・・・私こそすいません。お部屋から出させてもらえているのに、空をみてしまうなんて斎藤さんに余計な心配をさせてしまっていたんですね。気をつけます」
「いや・・」
千鶴が幹部を見つめていたのではないと分かった斎藤は、無意識に口の端をあげて。
「巡察の時に、鋼道さんに似た人がいないか気を配っている。監察も動いている」
「はい、ありがとうございます」
父親のことを思い出したのか、口にしたためか千鶴の目にはうっすら涙が浮かんでいた。
斎藤はゆっくり親指の先でなぞる。
「もう少し待て。きっとお前を鋼道さんに会わせてやる故」
「っ・・はい・・」
せっかくぬぐった涙だったが、千鶴の目からは後から後から流れてきた。
張りつめていた気が緩んだのだろうか。
斎藤は千鶴の涙に慌てた。
どうすれば泣きやむのか分からず、かといって手ぬぐいなど持ち合わせてはいなくて。
涙を拭いてやりたいが手では追いつかない。
斎藤はとっさに千鶴を抱き寄せ、胸に顔を押し付けた。
「・・・・っさいとうさ、着物が濡れちゃいます」
手を胸に押しやり離れようとする千鶴を、斎藤は後頭部と背中に手をまわしさらに押し付けた。
「構わん」
「すいま・・・せっ」
そうして斎藤は、昼寝から起きてきた沖田に指摘を受けるまで、千鶴を胸に抱き寄せ続けていた。
H23.7.30執筆
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読書大好き。生まれて初めて乙女ゲームに手を出し薄桜鬼にハマりました。
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