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うー・・・ん、ちょっと出来栄えは良くないかも。
難しいです、斎藤さん。
もっとこう、ストイックでクールな感じで書きたかったのになぁ。
まだまだ未熟と痛感しました(笑)
小説は右下からです
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剣の腕を確認するためだけだった
ただ、それだけだった
彼女が巡察についてきたいと言うのなら。
自分の身くらいは自分で守ってもらわねばならぬ、副長に進言するのならば確認すべきだと思ったからだ。
己がどう思われようと、それは構わぬことだった
彼女と剣の手合わせをした夜。
見張りの番になり、彼女を起こさぬよう気配を消し廊下に座って月を見ていた。
部屋の中はまだ彼女が起きている気配があった。
自分は幹部の中でも特に気配を断つことに慣れている。そのため副長から極秘の任務任されることが多々あった。
彼女が見張りがいることを失念するほどに。
頭上の引き戸が開き、彼女の気配が濃くなった。
「綺麗だったなぁ・・・・斎藤さんの剣」
呟いた一言に思わず意識が乱れる。
途端、彼女がびっくりして声をあげた
「さっ!斎藤さん・・いらっしゃったんですか・・す、すいません」
「いや、構わぬ・・・」
「・・・・聞いていらっしゃいましたよね?」
どうしようどうしようと、焦る彼女の内心が手にとるようだ。
だが、これといって気のきいた言葉をかけられるほど、自分は器用ではなかった。
黙り込んでいると、怒ったのかと勘違いした千鶴は慌てるように部屋からおずおずと廊下に出てきた。
廊下に出たことを咎められないと理解したのか、千鶴は斎藤の正面にちょこんと正座した。
「き、綺麗だと思ったのは本当です。まっすぐで、曇りがなくて・・・」
「だが・・・怖かったであろう?」
手加減していたとはいえ、女の首元に刃を近づけたのだ。怖い人だと思われて当然だ。
「そりゃ怖くないって言ったら嘘になりますけど・・・それよりも・・その、斎藤さんの目が曇りなくまっすぐで。うまく言えないのですが、その時は怖いって言うよりもびっくりしました。」
まっすぐなのはあんたの方だろう、と思ったが口には出さなかった。
「私も道場に通って有段者の剣筋を見てきましたけど・・綺麗だと思ったのは斎藤さんが初めてでした」
左利きの剣を綺麗と言える素直さに圧倒されて、何を言えばいいのか分からなかった。
「あの、気を悪くされたのならお詫び申しあげます。生意気言ってすいません・・」
ショボンと俯く千鶴に、斎藤は慌てて口を開いた。
「いや、謝ることではない。その、そんな風に言われたのは初めてだった故」
ほっとしたように微笑んだ千鶴の顔を正面から見ることができずに、わずかに視線をそらす。
「・・・時間があるときで良ければ、また剣の練習をしてもよい」
「本当ですか?ありがとうございます」
心底嬉しそうに笑う千鶴の表情を、斎藤は初めて見てしまった。
「・・・っ・・」
それまでは遠慮がちに笑う顔しか見たことがなかったのだ。
囚われの身で笑えと言う方が無理な話なのだが。
「もう・・時間も遅い。早く寝るが良い」
「はい・・斎藤さん、おやすみなさいませ」
丁寧に三つ指をついて挨拶をした千鶴は、部屋に戻っていった。
斎藤は次の当番の平助が来るまで、身動き一つできなかった。
翌日から斎藤は無意識に千鶴に構うこととなる。
土方から頼まれたことも拍車となって。
それは小さな出来事のひとつ。
でも、千鶴の笑顔にとらわれた彼の小さな変化だった。
H23.4.10執筆
あとがき
斎藤さん大好きなんですけど、む、難しいです。
なんて不器用な人なんだっ(笑)
浅田次郎さんの斎藤一を読んだあとなので、切り替えるのが難しかった。
左利きなのは史実なんですね。
あの時代左利きを貫くのは今以上に大変だったんじゃないかなぁ。
その辺のところはゲームでも描かれていますが。
ちなみに余談ですが、蒼の娘と息子は二人とも左利きなんです。
私と旦那は右利きなのに、不思議☆
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