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薄桜鬼初作品です。
おかしいなぁ、私斎藤さんが大好きなのになぜ記念すべき第一弾が沖田さん?
いや、沖田さんも好きですよ、うん。
小説は右下からどうぞ
******************************
おかしいなぁ、私斎藤さんが大好きなのになぜ記念すべき第一弾が沖田さん?
いや、沖田さんも好きですよ、うん。
小説は右下からどうぞ
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運のない子。
それが君への第一印象だった。
羅刹となり、狂ってしまった可哀そうな子達を追いかけて始末した夜。
僕たちは彼女を保護した。
保護、なんて都合のいい誤魔化しだけどね。
本当なら一緒に斬って捨てれば良かったんだろうけど、女と気づいた一君も僕も斬りたくなかったし。
脅しをかけた土方さんだって、斬るつもりがないのは気を読めば分かった。
逃げてくれれば容赦なく斬れただろうけど。
彼女は逃げるどころか、お礼を言うのだから僕は思わず笑ってしまった。
羅刹とはいえ、もとは仲間だった彼らを斬った後にそんな風に笑ったのは初めてだった。
彼女を部屋に閉じ込めて。
幹部で交代で見張りをするようになって何度目かの夜。
彼女の小さな叫びを聞いたのは、なぜ僕だったのだろう。
「とう・・・さま・・っ」
それは小さな寝言だった。
けれど耳の良い僕が気づくには十分で。
壁に寄りかかり、刀を抱えて月を見上げていた夜だった。
その声をはっきりと聞きとってはいたけれど、あえて聞こえない振りをして目を閉じた。
「・・・・・っ・・と・・・ま・・」
あぁ、彼女はきっと泣いている。
目を閉じるとその声ははっきりと耳に届いて。
体をずらし、戸を静かに開けてみた。
女の子の部屋を勝手に開けるのは良くないと分かっているけれど。
僕にとってそれは些細なことでしかない。
月光が彼女の部屋に差し込み、夜目が利く僕の目にははっきりと彼女の姿が写る。
気配を消して足音を忍ばせて寝ている彼女のそばに座る。
寝顔はどう見ても女の子で。
長い睫毛、白い肌。
艶やかな髪は、どうみても女の子だ。
平助や新八さん達はどうしてこの子が女の子だって分からなかったのだろう。
そっと手を伸ばして前髪に触れてみる。
思えば女の子をこんな近くで観察したの、初めてかも。
島原には興味ないし、町を歩く女の子はうるさくて嫌いだ。
まだ子供の方が可愛いと思う。
肩も細い。
指先なんて、なんて細いんだろう。
好奇心にかられて、色々観察してしまう。
額にかかる前髪に、触れたくなってしまって手を伸ばすと、寝ていた彼女の手が指先を握りしめた。
「・・・・・っ」
ちょっと不意打ちだったので、起こしてしまったのかと焦ったけれど、どうやら無意識に握ったようだった。
振りほどくと起きてしまいそうだったのでそのままにしてみた。
「父様・・・」
穏やかな顔をして、握りしめた僕の指先を唇に引き寄せた。
ふにゅ
柔らかい唇に指先が触れて、どきんと胸が鳴る。
なに、この柔らかい感触。
面白いので、そのまま手を離してもらえるまでそのままでいた。
彼女から離れ、元の位置に座り込んで考える。
何度もこぼれる言葉は父様のみ。
母親や兄弟姉妹はいないのか。
誰も頼る人がいなくて。
さびしくて。
消息が途絶えた鋼道さんを探しに女の身で単身京都へ旅をしてきた女の子。
そっか、彼女も一人、なんだ。
僕にとって近藤さんしかいないのと同じで。
気づいてしまった自分に嘲笑してみる。
だからと言って、彼女を自由にはしてやれない。
斬れと言われたら斬るしかない。
重い気持ちを振り切るように、また月を見上げた。
H23.4.5執筆
あとがき
初期の沖田さん。
彼は辛辣なことを言いつつ、結構物事に聡いと思います。
表に出さないだけで。
小さいころ苦労をしているので、なんだかんだと優しいと。
そんな風に思って書きました。
それが君への第一印象だった。
羅刹となり、狂ってしまった可哀そうな子達を追いかけて始末した夜。
僕たちは彼女を保護した。
保護、なんて都合のいい誤魔化しだけどね。
本当なら一緒に斬って捨てれば良かったんだろうけど、女と気づいた一君も僕も斬りたくなかったし。
脅しをかけた土方さんだって、斬るつもりがないのは気を読めば分かった。
逃げてくれれば容赦なく斬れただろうけど。
彼女は逃げるどころか、お礼を言うのだから僕は思わず笑ってしまった。
羅刹とはいえ、もとは仲間だった彼らを斬った後にそんな風に笑ったのは初めてだった。
彼女を部屋に閉じ込めて。
幹部で交代で見張りをするようになって何度目かの夜。
彼女の小さな叫びを聞いたのは、なぜ僕だったのだろう。
「とう・・・さま・・っ」
それは小さな寝言だった。
けれど耳の良い僕が気づくには十分で。
壁に寄りかかり、刀を抱えて月を見上げていた夜だった。
その声をはっきりと聞きとってはいたけれど、あえて聞こえない振りをして目を閉じた。
「・・・・・っ・・と・・・ま・・」
あぁ、彼女はきっと泣いている。
目を閉じるとその声ははっきりと耳に届いて。
体をずらし、戸を静かに開けてみた。
女の子の部屋を勝手に開けるのは良くないと分かっているけれど。
僕にとってそれは些細なことでしかない。
月光が彼女の部屋に差し込み、夜目が利く僕の目にははっきりと彼女の姿が写る。
気配を消して足音を忍ばせて寝ている彼女のそばに座る。
寝顔はどう見ても女の子で。
長い睫毛、白い肌。
艶やかな髪は、どうみても女の子だ。
平助や新八さん達はどうしてこの子が女の子だって分からなかったのだろう。
そっと手を伸ばして前髪に触れてみる。
思えば女の子をこんな近くで観察したの、初めてかも。
島原には興味ないし、町を歩く女の子はうるさくて嫌いだ。
まだ子供の方が可愛いと思う。
肩も細い。
指先なんて、なんて細いんだろう。
好奇心にかられて、色々観察してしまう。
額にかかる前髪に、触れたくなってしまって手を伸ばすと、寝ていた彼女の手が指先を握りしめた。
「・・・・・っ」
ちょっと不意打ちだったので、起こしてしまったのかと焦ったけれど、どうやら無意識に握ったようだった。
振りほどくと起きてしまいそうだったのでそのままにしてみた。
「父様・・・」
穏やかな顔をして、握りしめた僕の指先を唇に引き寄せた。
ふにゅ
柔らかい唇に指先が触れて、どきんと胸が鳴る。
なに、この柔らかい感触。
面白いので、そのまま手を離してもらえるまでそのままでいた。
彼女から離れ、元の位置に座り込んで考える。
何度もこぼれる言葉は父様のみ。
母親や兄弟姉妹はいないのか。
誰も頼る人がいなくて。
さびしくて。
消息が途絶えた鋼道さんを探しに女の身で単身京都へ旅をしてきた女の子。
そっか、彼女も一人、なんだ。
僕にとって近藤さんしかいないのと同じで。
気づいてしまった自分に嘲笑してみる。
だからと言って、彼女を自由にはしてやれない。
斬れと言われたら斬るしかない。
重い気持ちを振り切るように、また月を見上げた。
H23.4.5執筆
あとがき
初期の沖田さん。
彼は辛辣なことを言いつつ、結構物事に聡いと思います。
表に出さないだけで。
小さいころ苦労をしているので、なんだかんだと優しいと。
そんな風に思って書きました。
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プロフィール
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蒼
性別:
女性
趣味:
読書
自己紹介:
読書大好き。生まれて初めて乙女ゲームに手を出し薄桜鬼にハマりました。
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