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碧く咲く花

薄桜鬼二次創作ブログ。 ヒロインは千鶴ちゃんオンリーです。

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ここに来てくれる人っているのかな(笑)
でも、企画作品をあげておきます。


沖田さんて無自覚期間ってあると思うんですよね。
子供っぽいじゃないですか。
でも、自覚したらそのまま突っ走しりそうですよね。
それこそ周りの迷惑顧みず(笑)

では続きから小説どうぞ

~逸らしがちな視線~

 

 

屯所に囚われた彼女は、くじけることなく自分にできることをして少しずつ慣れてきたようだった。

最初は部屋から出ることも許されなかった彼女だけど、近頃は幹部棟の移動と幹部の身の回りの用事をこなすようになってきている。

 

そして平助を筆頭に談笑したり、一君とお茶したり。

土方さんの小姓もどきのこともしてて。

 

僕はそれが面白くない。

 

悪い子じゃないのは分かってる。そんなこと最初から僕は分かってた。

 

今もほら、縁側で一君のお茶してる。

 

「いーなー。なにしてんの?居候のくせにそんなのんびりしてていいのかな?」

「総司」

窘めるような一君は無視して。

千鶴ちゃんに話しかける。

 

途端今まで一君とのんびりしていた表情を一変させて。

ビクリと肩を揺らして一瞬逸らされる視線。

でもすぐにグッと体に力を入れて。

 

「あ、沖田さんこんにちは。お茶入れてきますね」

まっすぐに僕を見つめて微笑む君だけど。

 

平助や一君に見せる笑顔じゃない。

ムカムカする感情を抑え、僕はにっこり笑う。

「いらないよ。何を入れられるか分かったもんじゃないしね」

 

千鶴ちゃんが胸の前で組んだ手に力が入ったのが分かる。

「総司、いい加減にしろ。雪村がそのようなことできるわけがないだろう。」

いらだちを隠さずに僕と千鶴ちゃんの間に入ってきた一君を僕は目を細めて見やる。

 

「お子様のお守も大変だね、斎藤君も」

「気にすることはない、雪村」

 

僕と一君を交互にみておびえる彼女にいらついた僕は、この場に居たくなくて場を後にしようとした。

「あ、沖田さん・・・背中に・・・」

背中についていた何かを取ろうした千鶴ちゃんの指が背中に触れた途端僕は無意識に払ってしまった。

 

しまったと思った時はすでに遅くて。

 

振り向いたとき、彼女の体は空中に投げだされていた。

とっさに腕を伸ばして彼女の手をつかもうとしたけど・・・

伸ばした手の先に千鶴ちゃんも手を同じように伸ばして指先が触れたのは一瞬だった。

 

 

「雪村!!!」

一君の叫ぶ声が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

「いい加減子供じみたことはやめやがれ!総司!」

「そんなに怒鳴らなくても聞こえますよ、土方さん」

 

土方さんの部屋で僕はさっきから延々と説教を受けている。

 

分かってる、ぼくが悪いってことくらい。

 

座っている僕を見おろしてしばらく怒りに震えていた土方さんだったけれど、やがて大きなため息をついて肩を落とした。

 

「総司、てめぇな、いい加減千鶴に冷たくあたんのやめろ。いってぇ何が気にくわないんだ。あれは一応大切な預かりもんだ。分かってんだろ?」

 

いつもなら命令口調なくせに、今日は昔の土方さんみたいだ。

だからついポロっとこぼしてしまった。

 

「だって面白くないんですよ、あの子。僕が話しかけるとひきつった笑いしかしないし、目をそらすんですもん」

 

「当たり前だ!ばか!」

即答だし。

 

「会った時から斬るだの殺すだの言ってれば、誰だって怯える。俺や屯所の奴らはそれがお前の子供じみた構い言葉と分かっているからなんとも思わないがな・・・・気に入らないんなら、お前が接し方変えろ・・・ったく好きな子いじめる子供かお前は・・・」

 

はぁとため息をついてこめかみを押さえた。

 

「あんなの挨拶みたいなもんでしょ」

「んなわけあるか!」

 

またも土方さんの怒りを買っちゃって説教がのびるな、と思っているとバタバタと廊下から足音が聞こえた。

 

「副長、よろしいでしょうか。雪村君が目を覚ましたのですが・・・問題が」

「あぁ?」

 

そのうち土方さん頭の血管切れそうだな。

 

 

 

 

 

「覚えてないだぁ?」

 

「はい、どうやら頭を打ったせいで、自分のことや状況などを忘れてしまったようです」

「治んのか?」

「それは・・・今の状態ではなんとも・・・一過性であると良いのですが」

 

難しい顔をして報告する山崎君はちらりと僕を見てため息をつく。

 

「だったらいいじゃないですか。都合よく忘れてくれてるんなら、とっとと江戸に帰ってもらいましょうよ」

 

・・・そうすればこのイライラからも解放されるしね。

 

「馬鹿ぬかせ。鋼道さんが居ない江戸に何も覚えてない千鶴を帰すなんざ鬼か?俺らは」

「そうだよ!千鶴可哀想じゃねーか!何も覚えてないのに一人ぼっちにすんのかよ。総司ひでぇよ」

 

「例え知人に預けて帰しても、いつまた思い出すか分からないのでは危険です」

 

「とにかく、千鶴には俺から簡単に状況を説明しておく。父親がここで働いていて、消息をたったので千鶴はここに来た。身寄りもないのでうちで働くことになったが、男ばかりの職場だから男装してもらっている、ということにする。いいな、てめぇら・・・ボロだすなよ。特に平助」

 

ひでぇよ土方さんと抗議をあげる平助を無視して土方さんは幹部を見まわす。

 

「・・・・総司、お前は今までのようにしか接することができねぇんなら千鶴に近づくな」

 

「嫌ですよ。僕は僕ですからね」

 

そう言って部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

くすくすと笑う声がする。

あんな風に笑うのは一人しかいない。

 

記憶をなくしてからの彼女に対して、幹部の皆は一層彼女に優しくなった。

”知ってはいけないこと”を忘れた彼女に対し、監禁している閉じ込めている、という罪悪感が薄れたからだろうか。

でも僕は違うと知っている。

今も彼女は”捕えられている”ということを。

 

 

「楽しそうだね」

一君とお茶を飲みながらくつろぐ彼女に声をかける。

振り向いた千鶴ちゃんは僕の顔を見ても怯えない。ただ、誰だろうと思っているのがわかる。

思ったことを隠せないのは前と変わらないんだ、そう思うと少し気が楽になって。

にっこり笑いかければ僅かに頬を染めてうつむく千鶴ちゃんが可愛い。

 

「千鶴ちゃん、僕は総司。よろしくね」

にっこり笑って挨拶をしてみる。

すると彼女は満面の笑顔で僕を見つめて。

 

「はい、総司さん、ですね。お世話になっています」

 

「・・・・・っ」

 

なにこの可愛い生き物。

総司さんと呼ばれたことにも動揺してしまって。

「ち、千鶴、総司は沖田と言ってだな・・・・」

「うんそう、総司でいいよ」

面白いじゃない。なんだか気分が良いし。

 

「斎藤君も名前で呼ばれたい?」

にやりと笑ってみれば

「そういう・・・ことではない」

 無愛想な返事が返ってきた。

 

僕と一君のやりとりを千鶴ちゃんは首をかしげて聞いている。

 

「あの、総司さんのこと、私覚えているような気がします」

「え?」

どくりと胸が重くなる。

 

「私、ドジ踏んで庭先に転がったんです、よね」

「あぁ、うん」

 

「誰かが私に必死に手を伸ばしてくださったような気がしてたんです。今総司さんにお会いして、この方だって・・気付きました。あの、ありがとうございます」

 

チクリと胸が痛んだけど

 

「うん、どういたしまして、かな」

笑えば君も笑ってくれる。

 

隣の一君の視線は厳しいけれど、僕にとってそれは些細なことだった。

 

 

 

 

 

 

”自分を助けてくれた人”という刷り込みのせいなのか。

千鶴ちゃんは僕を慕うようになっていて。

何かにつけ僕を頼ってくる彼女を、僕は好ましいと思うようになって。そしてそれがなんだか嬉しいと思う自分がいる。

 

でも分かってる。

僕のせいで彼女は記憶をなくして。

 

以前の君に僕は嫌われていたことも。

 

忘れてはいない。

 

 

 

 

 

 

「総司さん?どうかされたのですか?」

買ってきた団子を一緒に食べて、僕が君をからかって君は笑ったりすねたりと忙しくて。

楽しいけど、これでいいのかって思うことが増えてきて。

今もふと遠くを見てて。

聡い君はすぐに気付く。

「総司さん?どうかされましたか?」

 

「ん?なにもないよ」

まっすぐに僕を見る君の目が見れなくて。

視線を逸らしてしまう。

 

 

「お仕事、お疲れでしたのなら自室で休まれた方が・・・」

そうやって気遣うのは記憶が無くなる前も今も同じだね。

 

「最近、皆さん私をみてお辛そうなんです。何も覚えてない私ではやはりご迷惑なんでしょうか・・・」

 

「考え過ぎだよ」

持っていたお茶を飲み干してごちそうさまと盆の上に置く。

 

「君はさ、前も今も”君”だよ。安心しなよ。むしろ僕の方が自分でも驚いてる」

最後はただの独り言だ。怯えた目、揺れる肩、それを僕は忘れてはいない。

 

僕の言った言葉の意味を千鶴ちゃんは一生懸命考えているようだった。

「・・・総司さんはお優しいです。それが私に対する罪悪感からだとしても・・・私、すごく有りがたいと思っています」

「知っていたの?」

僕のせいで君が記憶をなくしたことを。

 

「いいえ?でも、色々と聞いていれば分かります。総司さんも時々私を見る目がお辛そうで・・・」

「そっか・・・今の君に謝っても仕方ないんだけどね、でも、ごめんね」

「あ、謝らないでくださいっ・・・私っ・・・私、それでもお傍にいることを許されて嬉しいなんて、そんなことを思ってるんです。総司さんの優しさに甘えて・・・謝るのは私の方なんです・・・」

 

俯いて震えている君はきっと涙をこらえているんだろうな、なんて思いながら目の前の千鶴ちゃんを見て。

 

そっか

 

僕は君が気に入っているんだ。

そしてきっと多分、好きなんだろう。

 

今なら許されるのかな、そんな風に思ってそっと彼女の頬に手を伸ばしてみる。

柔らかい頬。

触れた途端ピクリと反応する千鶴ちゃんの頬に触れたままゆっくり上にあげてみる。

 

「あ・・・・総司さん?」

「記憶が戻ったら、また君は怯えるのかな?」

サラリとした頬の感触が気持ちいい。以前なら絶対できないことだ。

「・・・前はそうだったとしても・・・お優しいと知りましたから・・・大丈夫です、きっと」

 

記憶が戻ったら、今のことを覚えていてくれる保証なんてない。

山崎くんからはそう聞いている。

 

だったら

 

「ねぇ、千鶴ちゃん。僕は君が好きみたい。僕は好きな子をいじめる子供なんだって土方さんが言っていたんだ。君の意思を無視しちゃうけど、抱きしめていいかな?」

 

まっすぐ君の目を見つめてみる。

「・・・っ・・・あ・・・あのっ・・」

耳まで真っ赤になった千鶴ちゃんだけど、首を横に振らなかったことを了承の意と勝手に捉えて。

気が変わらないうちにと、両腕を千鶴ちゃんの背中に回してみる。

 

ゆっくりと少しずつ引き寄せて。怯えさせないように。

 

うわ

 

小さい、細い。

腕なんて余裕でまわる。こんなに細い体で屯所の仕事をしてくれているんだね。

愛おしいという気持ちってこんな感じなのかな。

 

ふわり

 

千鶴ちゃんの首元に近づけばとても良い香りがして。

やっぱり女の子なんだ。

 

姉さんとも違う。

近藤さんの側にいる時とも違う。

 

不思議な感覚に支配されてしばらくじっと抱きしめ続けていた。

 

「そっ総司っ・・・・さんっ・・・」

さすがに千鶴ちゃんの限界がきたようで、僕は名残越しげに離れた。

 

「ごめんね、嫌だった?」

口の端を少し上げて微笑めば、真っ赤な千鶴ちゃんはふるふると首を振ってくれた。

 

あぁ、何か嬉しい。

 

こんな感情に支配されるの、少し前の僕なら馬鹿みたいだと切り捨ててしまっていただろうな。

 

「続きはまた今度ね」

「つっ続きがあるんですか?」

千鶴ちゃんの悲鳴のような言葉に僕は大笑いをしたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後、千鶴ちゃんの記憶が戻ったと山崎くんから報告があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

いつものように笑い声が聞こえる。

この声は千鶴ちゃんと平助か。

 

楽しそうだけど、僕が行けばまた君が怯えるだろう。

もうそんな顔は見たくなくて、僕はあれから千鶴ちゃんを避けていた。

 

「総司」

振り向けば一君がいて。

「雪村が心配している。顔を見せてやれ」

「え?そんなわけないでしょ」

肩を竦めてみせる。

「・・・あいつが心配する顔は見たくない。会ってやれ」

 

「・・気が向いたらね」

そう言って一君に背を向けた。

 

 

 

「沖田さん、入ってもよろしいでしょうか」

会いたいけど行動に移せなくて部屋でゴロゴロしていると、なんと向こうから訪ねてきてくれた。

珍しい、っていうか初めてじゃないかな。

千鶴ちゃんが僕に寄ってくるなんて今までなかったことだ。

 

動揺したことに気づかれないように別に構わないよと声をかければ、お団子を頂いたので良かったらといってお茶と一緒に部屋に入ってきた。

 

「ありがと。気を使ってくれたんだね」

微笑んでそう声をかければ、頬を染めて視線が逸らされた。

でも、その逸らし方は以前と全く違っている。

 もしかしてと淡い期待が胸に浮かぶ。

 

「いえっ・・・たくさん頂いたんです」

「ふーん、じゃぁ僕はついでなんだ?」

確かめたくて、ちょっとからかってみる。

「ちっちがいますっ」

慌てて顔をあげた千鶴ちゃんと目がバッチリ合えば。

カッと一瞬にして千鶴ちゃんの頬が染まる。

そしてまた視線が逸らされる。

 

「ちーづるちゃん?」

背けた顔の前に顔を寄せれば、ブンッと勢いよく反対方向に顔を向けてしまう彼女。

耳まで真っ赤だ。

 

「もしかしてさ、覚えてるの?」

「・・・・っ」

「千鶴ちゃん、こっち向いて。向いてくれないならイタズラしちゃおっかな」

イタズラと聞いた千鶴ちゃんはビクリと肩を震わせて。

 俯いたまま観念したように口を開いた。

 

「さっ最初はっ・・・夢かと思ってたんですけどっ・・・っ」

「うん」

 

「ほかの方たちのお話とか、色々聞いていたら・・本当にあったことが多くてっ・・」

「うん」

 

ゆっくり、焦らず、千鶴ちゃんが一生懸命説明してくれるのを聞きながら腕を彼女の背中に回していく。

 

「おっ沖田さんのことを名前で呼んでたこととかっ・・・すっ・・き・・・とか言ってくださったこととか・・」

「・・・・うん」

 

「・・・・すごくお優しかったこととか・・・それが嬉しかったこととか」

「うん」

 

ちょっとずつ回した腕に力を入れて千鶴ちゃんを抱き寄せてみるけど、抵抗はなくて。

「思い切って勇気を出して来てみたんです。もし夢でないならお伺いしても意地悪されないかもしれないって・・そう思ったんです」

 

あんなに僕に怯えていた君が僕の部屋に来るなんて勇気が必要だったろうに。

そんな彼女が可愛くて、ギュッと抱きしめた。

千鶴ちゃんは僕の胸の中でおとなしくしてる。

 

 

「夢じゃないよ」

「はい・・・」

 

「僕は好きな子をいじめちゃうんだって」

「土方さんが仰ったんですよね」

腕の中でクスクス笑う君が可愛くて。

 

「だから覚悟しておいてね」

耳元で囁いて、軽く口づけをした。

 

「おっ!おっ・・・沖田さんっ」

口を抑える千鶴ちゃんは真っ赤だ。

でも視線は逸らされない。

 

「やだなぁ。総司さんって呼んでよね」

 

「・・・っ呼べませんっ」

 

 

「続きするって約束だったもんね」

「してませんっ」

 

腕の中でジタバタ暴れる千鶴ちゃんを抱きしめて。

 

「・・・覚えていてくれてありがとう」

そう囁けば

 

守ろうとしてくださったこと・・嬉しかったんですよ、と返事が返ってきた。

 

 

END

 

 

 

 

あとがき

 

はじめまして。

現在休止中のブログサイトで細々と創作している蒼です。

この度は素敵企画開催!おめでとうございます。

大好きな露樹さんのために!書かせていただきました。

創作活動休止しているため文章力が退化してしまい、文章も構成も恥ずかしい限りなのですが、二人の萌えを書きたくて必死でした。

甘い屯所時代が書きたかったのと、屯所時代に「総司さん」と千鶴ちゃんに呼んで欲しかったんです!

私にしちゃ健全コース(笑)いつも企画はRコースなのにねっ(^┰^;)ゞ

少しでも皆さんが萌えてくだされば嬉しいです。

二次創作の基本は萌え!と思っております♫

ここまで読んでくださってありがとうございました。



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